熱伝導

熱伝導?

温かいコップを持ったとき手は温かくなります。氷を触ったときは手が冷えますね。
これらは熱伝導の現象です。


ここでは熱伝導を見ていきます。
一言でいうと、熱伝導は固体中で熱が伝わる現象のことです。

熱はエネルギーです。熱を持っている(温度が高い)ものはエネルギーが大きいものと言えます。

熱伝導では大きなエネルギーから小さなエネルギーのもとへ熱が移動します。

したがって、熱伝導では温度が高いところから低いところへ熱が伝わっていきます。

・熱伝導とは温度が高いところから低いところへ熱が伝わること
・熱伝導は固体中で起きる現象である

目次

フーリエの法則

平板の熱伝導を考えます。実際には多方向に熱が伝わりますが、ここでは簡単に考えるため1方向での熱伝導を考えます。


平板の面積がAで、厚さがxだとします。そして平板の左側の温度が\(T_1\)、右側の温度が\(T_2(T_1>T_2)\)とすると、
伝熱量Qは

\(\displaystyle Q = λ×\frac{T_1-T_2}{x} × A\)
と表せます。

この式をフーリエの法則と言います。



伝熱量Qは、その名の通り熱が伝わる量のことで単位は[W]です。
式で初めて出てきたλは熱伝導率といいます。単位は[W/(m・K)]です。単位長さ・単位温度当たりにどのくらい熱を伝えるかを表します。つまり、熱の伝えやすさで、熱伝導率が大きいほど熱が良く伝わります。
伝熱量の他に文献によっては単位面積を通過する伝熱量である熱流束q[W/\(m^2\)]を用いることもあります。

\(q = \frac{Q}{A} \)

なお特に明記しない限りこのサイトでは伝熱量Qを用います。

製品を冷却したい場合は、熱伝導率をできるだけ高くし、熱を伝えやすくします。
逆に製品を保温したい場合は、熱伝導率をできるだけ小さくし、熱を伝えにくく断熱するようにします。


空気や水の熱伝導率はどのくらいですか?

常温だと空気はおよそ26[mW/(m・K)]、水はおよそ600[mW/(m・K)]です。水は空気に比べて20倍以上熱を伝えやすいです。

フーリエは数学でも出てくるフーリエですか?

そうです。フーリエ変換などでなじみがあるかもしれません。フーリエは数学者であり、物理学者でもありました。

上では平板を例に一方向の熱伝導(一次元熱伝導)を考えていますが、二次元熱伝導、三次元熱伝導もあります。


定常・非定常について

熱を伝える媒体には、時間経過に伴い媒体温度が変化することがあります。この温度変化の有無により、定常と非定常の熱伝導に分類されます。
定常

媒体の温度変化がない(発熱しない)熱伝導です。したがって、伝熱量も変化しません。

非定常

時間経過に伴い媒体の温度が変化する熱伝導です。時間により温度が変化するため伝熱量も時間により変化します。

非定常熱伝導は解けない場合が多々あるので、対象を定常として扱い近似で解きます。非定常問題を解く場合は解析ソフトを用いることが多いです。

まとめ
  • 熱伝導は固体中でエネルギーの大きいところから小さいところへ熱が伝わる現象
  • 熱伝導の伝熱量はフーリエの法則で表せる。
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